両の手を器に桜、受け取って あの世の底を日だまりにする
ひゃくねんを川べりで産み 目のふちを小指で掻いて 菜の花を摘む
カルピスに 海が透けたら起き上がる 洗濯が山盛りの日曜
貝殻の模様の模写を繰り返す 夏、病室のカーテンを裂く
生臭い手で目覚ましを切る君の 粘着テープだらけの身体
ずぶ濡れのキリンの夢を見た後は 目薬を弟に預ける
白詰草の冠が置き去りの スワンボートは春の棺だ
〈かみさま〉のいない季節は 留守番の夜に浸かった 湯船のようね
揃わない母音を春へ撃ち落とし 夜空を分かつ電線を見る
銀色の色鉛筆で羽を描き 風の卵を温めている
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